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[世智園] セウォル号の記憶と忘却


  • [世智園] セウォル号の記憶と忘却
セウォル号事件から1年を迎え、最も大事にしたい言葉は「記憶」だ。

女優オードリー・ヘップバーンの息子ショーン・ヘップバーンが提案した「セウォル号記憶の森」は、その第1番目だ。彭木港(ペンモクハン)から4.16キロメートル離れた珍島郡白銅無にある窮花(ムグンファ)公園に黄色いリボンを連想させる​​イチョウ30本を植える。オードリー・ヘップバーンは引退した後、ユニセフ親善大使として飢餓と病気の現場を歩き回る救援活動を行ったため、さらに尊敬されている。そのような母の精神を受け継いだ息子がセウォル号の遺族を慰めしようとしている。政治と理念を離れて、お互いを慰め、犠牲者を長く記憶する場所になるようにしようとショーン・ヘップバーンは言う。

彭木港防波堤の下の部分195メートルに設置された「セウォル号記憶の壁」は、その第2番目だ。羅州のある代替学校の学生たちが全国で描かれて送られてきたタイルを貼って完成させた。学生、一般人など4656人が文と絵でセウォル号の切なさと恋しさ、叱責と嘆きを込めて記憶の壁に同参した。

安山市古棧洞にある「416記憶展示館」は、その3番目だ。セウォル号の惨事でこの世を去った檀園高校2年生246人のうち、54人が使っていた部屋を撮影した写真を展示する。子供たちの部屋だ。写真の中の主人公はこの世にいないが、本棚には学習書と漫画本があり、椅子の背もたれに制服がかかっており、惨事前の姿を見せてくれる。

安山市の檀園高校近くにある建物の3階の古い教会礼拝堂に作られた「セウォル号記憶貯蔵所」がその4番目だ。145平方メートルの天井につるされた304個の灯篭に写真や日記帳など、犠牲者の資料や小物を入れた。

キム・イクハン明智大教授の提案により、建築家約60人と家具・資材メーカーの代表たちが心を一つにして記念品と関連資料を保管し、人々に見せる空間にした。

春の花の香りに酔う平凡な4月16日が今、毎年悲しみに浸るべき暗い日に変わった。まだ忘却を話す時ではない。セウォル号を忘れないために、記憶を整理して集めておこう。それぞれの胸の中に入れておいた辛い記憶を取り出して共有し、乗り越えよう。惨事から1年を迎えた今日も切なさと悲痛が一方に、怒りと驚愕が一方に残っている。慰められるべき犠牲者遺族に敵意を表したり、セウォル号への言及はうんざりだというような言動は絶対に禁物だ。

セウォル号はいくら隠しても隠し切れない、私たちの時代の恥ずかしい自画像だ。
  • ユン・ギョンホ論説委員
  • 入力 2015-04-15 17:39:27




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