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[社説] セウォル号引き揚げ決定、消耗的な葛藤と分裂は終わらせよう


韓国政府はセウォル号の船体引き揚げを決定し、引き揚げ業者の選定を経て、9月から現場作業に着手する予定だ。セウォル号の重量は1万200トンに達し、流速が速い孟骨水道の水深44メートルに横たわっているため、毀損なく丸ごと引き上げることも高難度な作業になると思われる。12~18か月がかかり、費用も1000億~1500億ウォンかかるということだ。

技術的な挑戦と莫大な費用にもかかわらず、政府がセウォル号の遺族と国民の意思を受け入れて電撃的に引き揚げを決めたことは、評価しなければならない。セウォル号引き揚げは9人の行方不明者の家族の悲痛な心を慰労して、セウォル号が私たちの胸に残した大きく深い傷を治癒するきっかけになるだろう。国論分裂と消耗的な論争から脱して、これから前進する転機が設けられたのだ。行方不明者の流失と船体の損傷を最大限に防ぐことができるよう作業をしつつも、引き揚げの過程で別の人命被害がないように安全管理に万全を期すべきだ。

セウォル号引き揚げの決定は、惨事の後、韓国社会に根を下した葛藤と分裂を解消する出発点にならなければならない。これまでの一年間、韓国はセウォル号により、国家の機能がほとんど作動不能状態になっていた。事故発生後から205日が過ぎてからセウォル号特別法が国会を通過したほど、反目と葛藤が広がり、経済は急落した。最近、セウォル号1周年追悼式には専門のデモ隊が加り、警察車両70台を破損し、暴力デモを繰り広げ、一部の参加者が太極旗を燃やす不祥事まで起きた。悲しみを共有する場というよりは、過激なデモ隊に利用された追悼式を見て、国民は失望して厳正な司法処理を促した。

遺族はこれまで船体の引き揚げとともに、セウォル号特別法施行令案の廃棄を主張している。施行令の中で特別調査委員会の定員を120人から90人に縮小したこと、海洋水産部の公務員が業務を総括することにしたこと、派遣公務員の数が多いことなどを問題視した。しかし、最近、ユ・ギジュン海洋水産部長官が公務員を派遣しないことにするなど、遺族の気持ちを受け入れて施行令を修正することにしただけに、これからは政府と角を立てるより、協調する姿勢を見せなければならない。セウォル号引き揚げは、社会に広がった不信と葛藤を取り除き、経済が再び前進するきっかけにならなければならない。
  • 毎日経済 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-04-23 00:01:01




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