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[世智園] 韓国版ブラックフライデー


  • [世智園] 韓国版ブラックフライデー
先日、坡州アウトレットに行って、あるバッグに視線が止まった。娘が使っていたバッグと同じ製品だ。あまりにも古くなったため、買い替えてあげようと機会を狙っていたときだった。スマートフォンで写真を撮って、娘に送った。 「あなたが使っているバッグとまったく同じ、買おうか」。おりしも娘は語学研修に行くために仁川空港にいた。「同じバックだよ。でも、さっき免税店で買った」

幸いだと考えた。「免税店は、最も安いところ」と固く信じてきたからだ。どれほど安く買ったか確認していたときに不意打ちにあったように頭が白くなった。坡州アウトレットのバッグには11万ウォンという値札が付いていたのだが、仁川空港免税店では14万ウォンで買ったという。免税店への私の信頼は、その瞬間から、がらがらと崩れた。以前のように回復されることもない。

「韓国版ブラックフライデー」が今日から2週間の間進行される。米国では感謝祭翌日の11月の最後の金曜日から年末まで膨大なセールイベントを繰り広げる。ブラックフライデーという言葉が使われる背景だ。韓国版ブラックフライデーには、デパート、大型マート、コンビニ、伝統市場(昔からある市場や商店街)のほか、オンラインショッピングモール、外食産業、遊園地まで参加する。韓国初・最大のセール行事だ。すべてで2万7000店舗が70%まで割引して販売するという驚くべきものだ。

萎縮した消費を生かそうというこのイベントをあえて批判する理由はない。外国にも似たような事例もある。ドバイ政府は、1996年から小売業振興のために、毎年1月の1カ月間「ドバイ・ショッピング・フェスティバル」(DSF)というイベントを開催する。中国は消費刺激のために1月1日の春節、5月1日の労働節、10月1日の国慶節に一週間以上の連休を楽しむことができるよう、1999年の初めから祝日制度まで改編した。

「韓国版ブラックフライデー」が凍った消費に活力を吹き入れるのなら嬉しいことだ。ところが、「コリアグランドセール」であったり「中秋スペシャルウィーク」という割引イベントが終わりなく続く。1年を通して割引の立て札をかけているようだ。消費者としては騙されている気分になる。「50~70%の割引をするらしいが、いったい通常価格というものがあるにはあるのか」という疑問が湧く。

割引イベントは歓迎するが、「オオカミ少年」式の客引きであっては未来がない。消費者との信頼を築く方策が必要に見える。
  • 毎日経済 チェ・ギョンソン論説委員 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-09-30 17:14:17




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