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[I ♥ 建築] SUV礼賛


  • [I ♥ 建築] SUV礼賛
筆者は10年前に初めてスポーツ・ユーティリティ・ビークル(SUV)を購入して使用してから、車はSUVだけを買うようにしている。2つの理由がある。

まず車高が高いからだ。運転をするときに視点が高いと、遠くまでを見ることができる。セダンを運転するときは、主に前の車のナンバープレートやリアウィンドウを見ながら運転していた。SUVに乗ると、前の車のその向うを見ることができる。より遠くを見ることができるということは、それだけ自分が認知できるスペースが広いということだ。そのぶんだけ、運転するときに渋滞になっても息苦しさが減る。

遠くを見る利点に加えて、他の車を見下ろすことができる点もいい。建物では高い権力を持つ人は、高い視点を持つ位置につく。王宮では王座が一番高い。最も高価なペントハウスは最上階にある。高い視点はそれだけ強い権力の座だ。身長が高くない人は、SUVに乗ると普段なかなか感じることができない権力者の高い視点を持つようになる。

二つ目の理由は、トランクが室内空間に組み込まれていることだ。

セダンは室内空間の静粛性のために、トランクスペースは室内空間と完全に分離されている。しかしSUVはトランクスペースの拡張性のために、室内空間とひとつにつながっている。車のトランクは、旅行や買い物などの場合を除いてほとんど空いている。だから荷物を載せていないトランクの空き空間が室内空間に組み込まれると、自動車の室内ははるかに広くて快適になる。同じ長さの車の場合、ハッチバックスタイルとセダンスタイルの室内空間を比較してみると、その違いを克明に感じることができる。そのうえ車高の高いSUVはトランクスペースがさらに広くなって、室内空間がより大きく拡張される。

自動車は現代社会の複雑な都心の中で、自分の部屋よりも静かなプライベート空間を提供してくれる。この点が、車が移動手段を超えてこの時代に私たちに与える空間的な意味だ。私の部屋とは異なり、自動車のプライベート空間はあちこちに移動して、場所を変えつつ他所の景色を楽しめるようにしてくれる。ところがセダンではなくSUVに乗ると、さらに高い権力空間からより広い室内空間と遠くまでを見ることのできる、拡張された外部空間を楽しむことができる。
  • ユ・ヒョンジュン弘益大建築学科教授
  • 入力 2017-05-13 07:01:34




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