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[I ♥ 建築] アビタ67


  • [I ♥ 建築] アビタ67
カナダのモントリオールに行けば、1967年モントリオール万博を記念して作られた「アビタ67」というアパートがある。モシェ・サフディというイスラエルの建築家がデザインしたこの作品は、彼の大学時代の論文を実現したもので50年が過ぎた今でも最も美しい集合住宅として数えられる。

このアパートの世帯を覗いてみると、部屋1つのユニットから部屋4つのユニットまで様々だ。全15種類のユニットが様々な形で組み合わさることで158世帯を構築している。365個のモジュラーは工場で事前に作られたコンクリートの構造体だ。

このコンクリートボックスと壁を、現場で子供のおもちゃブロックのようにクレーンで積み上げながら組み立てて作った。信じられないほど長く接続された建物だが、ほかの大型建物とは違って醜くなく、まるでギリシャのサントリーニ島の集合住宅を連想させる。その理由は、形状がそれぞれ異なって世帯ごとにテラスがあるためだ。

おそらく韓国でこのような革新的なデザインが出てきたとしても、建築審議で「建物の長さは60メートルを超えたらいけない」というルールのために拒否されたであろう。残念ながら韓国の多くの規制は最悪の状況を防ぐために造成されたもので、創造的な素晴らしいアイデアを防ぐことが多い。

アパート最大の欠点は個人の庭がないという点だが、このアパートは各世帯のテラスが庭の役割をする。

露出コンクリートで作られていて索漠であったかも知れない風景は、長年の間に各世帯のテラスが様々な形で飾られることにより新たに誕生した。いくつかの世帯には赤いタイルにカナダの国旗がかかっており、またいくつかの世帯には様々な鉢で庭園のように装飾されており、またあるいは洗濯物が散らばっていることさえある。このように1人1人の生活の様子がテラスに現れることで、建築物の立面を完成させるのだ。

従ってこのアパートは索漠さを感じさせず、人間のにおいがする。

韓国は「バルコニーの拡張法」ですべてのバルコニーが室内空間に変わってしまった。外から見るとアパートと住商複合とオフィスビルの立面がすべて窓ガラスになってしまい、とても区別ができない。私たちの都市が索漠になってしまう理由の1つだ。良い集合住宅の設計とは、建築家は単に良い空間の枠組みのみを提供し、暮らす人々の生活により完成させるという余地を残したものだ。
  • 毎日経済 ユ・ヒョンジュン弘益大建築学科教授 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2017-06-14 09:29:40




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