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「今回が最後...」バレーボールの女帝、目頭赤く…キム・ヨンギョン選手


  • 「今回が最後...」バレーボールの女帝、目頭赤く…キム・ヨンギョン選手
  • 写真=東京:ハン・ジュヨン記者


「試合前のテーピングをしながら、最後になるだろうという考えを...。」

最後という言葉を口に上げた瞬間、キム・ヨンギョン選手の淡々とした声が突然ふるえた。「バレーボールの女帝」はついに話を終えることなく目頭が赤くなった。敗北の痛みではなく、大韓民国の国家代表として過ごした16年の重さと余韻が感じられた。

韓国女子バレーボールのエース キム・ヨンギョン選手(33)は8日、2020東京オリンピックを最後に代表引退を宣言した。この日、キム選手は日本の有明アリーナで開かれた銅メダル決定戦でセルビアに敗れた後に行われたインタビューで、「(引退の決定は)慎重な部分」だとしながらも、「(バレーボール)協会と話をするだろうが、事実上は今回が代表としてプレーした最後の競技ではないだろうかと思う」と引退を示唆した。

2005年に高校生の身分で成人代表チームに合流してから16年ぶりだ。国家代表として271回も太極マークをつけて活躍しながら4981点を得た。これまで国内外のリーグを選ばず、チームを優勝に導いた最優秀選手に選ばれた。同選手は韓国チームのエースだったし、チームをひとつに団結させたリーダーだった。 2012年のロンドンオリンピックでは4位にもかかわらず異例の最優秀選手に選ばれるなど、個人が得ることができる栄誉はすべて得た。しかしたった一つ。オリンピックのメダルだけがキム・ヨンギョン選手を無視した。初出場したロンドン大会では4位、2016年リオデジャネイロ大会では8強進出で満足しなければならいた。

今回の五輪に臨むキム・ヨンギョン選手の姿勢は格別だった。キム選手は「リオ五輪が終わって5年間、何が記憶に残ったのか」という質問に、「いまこの瞬間」だと答えた。また「たっぷりと準備した。準備を終えた後にどのような結果が出ても後悔しないような気がした」と語った。キム選手の切実さは見る人々の心にも届いた。韓国女子バレーボールチームの闘魂は、今回の大会を通じて感動をもたらした。

大会前の代表チームの見通しは暗かった。キム・ヨンギョン選手、ヤン・ヒョジン選手(32)、キム・スジ選手(34)などの黄金世代はほとんど30代中盤で全盛期が過ぎたし、代表ストライカーとセッターだったイ・ジェヨン選手とイ・ダヨン選手の双子は学校暴力の波紋で代表チームから除外された。韓国は予選で脱落するだろうという予想が支配的だった。実際に、予選の初戦でブラジルに0対3で敗れた。

しかし代表チームはあきらめなかった。世界トップクラスのドミニカ共和国に勝ったことで、宿命のライバル日本と行った試合で劇的な逆転勝ちを収めて8強進出を決めたし、全国民の視線を捕らえた。 8強の相手は戦力上は韓国が絶対劣勢であるトルコだった。韓国の勝率は5%にもならないという予測もあった。そのたびに主将でありエースのキム・ヨンギョン選手は代表チームを一つにした。試合中に相手の集中サーブに苦戦したパク・チョンア選手(28)に「大丈夫。私が解決するから」と励ます姿がカメラにとらえられることあった。 「ワンチーム(One team)」となった代表チームは、ブラジルと闘った準決勝で0対3で完敗したが、彼女たちに向けられたのは非難ではなく賛辞だった。キム選手はこの日、「ここまで来たことを喜んでいる」とし、「誰もが今回の大会に期待をかけた。後悔はない」と堂々と話した。

キム・ヨンギョン選手にとって国家代表とはどんな意味だろうか。彼女は「言葉するのが難しいほど重い」とし、「光栄であり誇りを持っている」とした。重くて栄光であり自尊心のある席を離れて、キム・ヨンギョン選手は再び大韓民国のバレーボールを語った。キム選手は後輩たちに「今回の大会を通じて、選手たちがこれからの方向性を得ることができるだろう」とし、「頑張って続けていってほしい」という要請を忘れなかった。
  • 毎日経済 | リュ・ヨンウク記者
  • 入力 2021-08-08 23:04:27




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