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名薬「白首烏」が人を窮地に追い込む

第1ラウンドが終了した白首烏(ペクスオ)事態、韓国消費者院 vs ナチュラルエンド・テック攻防戦の顛末 

最近、SNSでこのような書き込みがされた。

白首烏(ペクスオ)入りの製品で大ヒットを飛ばしたナチュラルエンド・テック(Naturalendo Tech)の株式を1株当たり7万8000ウォン台で買ったのだが、半分以下になったせいで株式を買うために借りたお金を返済することができず妻に追い出されたため、ラーメンを買うお金だけでも助けてほしいと訴える書き込みだった。

ナチュラルエンド・テックは、韓国消費者院(以下、消費者院)が「市中に流通している白首烏入りの製品を検査してみたところ、偽物の異葉牛皮消が含まれていることが確認された」と発表する前までは、コスダック(KOSDAQ)の寵児だった。

2013年10月にコスダック市場に上場したナチュラルエンド・テックの額面金額500ウォンの公募株53万株は、なんと80倍の4万ウォンで全量が売れた。競争率は609.82対1で、4万ウォン台で買った人たちは、一時、彼らの選択が正しかったと満足した。その後も株式が急激に上昇し、去る4月16日には場中、一時9万1200ウォンで取引された。時価総額も1兆6743億ウォンでコスダックランキング3位に急浮上した。

韓国消費者院の発表は、この会社の株式にかかった1兆150億ウォンを虚空へと吹き飛ばしてしまったわけだ。

まず、簡単に事態の進行過程を見てみよう。

健康食品業界は、韓国消費者院の調査員が市中に流通している白首烏入りの製品を収集し、メーカーの工場や物流倉庫に押しかけて製品や原料を収集した時から気付いていたと思われるが、一般消費者や投資家は消費者院が4月23日に「市中に流通している白首烏入りの製品の多くは偽物」という発表をした後に事態を把握することになった。

消費者院が白首烏入りの製品の検査に乗り出した理由は、今年に入って、この製品に対する消費者の告発が健康食品の分野で2位を占めるほど多かったからだった。女性の更年期症状を緩和してくれるという噂が流れ、白首烏入り製品の人気が高まると、そこからさらに進んで成長期の子供の背を高くしてくれるという広告まで出す企業がでるほどだった。

この日、消費者院は「検察・警察と合同で、市中に流通している32の白首烏入りの製品に対する原料真偽を調査した結果、実際に白首烏を原料として使用した製品は3つだけで、21の製品は、白首烏の代わりに異葉牛皮消を原料として使用したり、混合使用したことが確認された」と明らかにした。残りの8の製品は白首烏が含まれているかどうか成分の確認ができなかった。

消費者院は続いて、これらの製品の原料を供給するナチュラルエンド・テックの利川工場に保管されている加工前の白首烏の原料を回収して検査した結果、異葉牛皮消が検出されたと付け加えた。

消費者院の発表がされると、ほとんどの企業は消費者院の勧告を受け入れて製品を回収して廃棄処分したが、ナチュラルエンド・テックは直ちに反発した。ナチュラルエンド・テックは発表前日(4月13日)から、裁判所に消費者院の検査結果について公表禁止仮処分申請を出した状態だった。反論資料の内容は、非常に強硬だった。

「消費者院の担当チーム長が数回にわたりショートメッセージを送ってきており、原料の廃棄を勧め、原料を廃棄すれば会社名を抜いたり、内容を縮小すると懐柔してきた」。「90%以上偽ものの白首烏を使用する会社の代わりに、当社を標的にしようとしているのか、その意図が疑わしく、消費者院の発表前後に株式の空売りが急増した事実も、そのような疑問をさらに増幅させる」

ナチュラルエンド・テックは続いて、4月28日には韓国消費者院の調査員が試料採取の過程で封印などの規定を違反したとし、検査は源泉無効だと重ねて主張した。そして、消費者院と担当チーム長を業務妨害と名誉毀損の疑いで告発した。

消費者院もすぐに反論資料を出した。「ナチュラルエンド・テックで回収した原料から異葉牛皮消が検出された後、事業者懇談会を開いて試験方法と結果を詳細に公開しており、その場でナチュラルエンド・テックは利川工場に保管されている原料を自発的に廃棄するという意思を明らかにした。しかし翌日、連絡もなしに訪問してきて2次懇談会を開き、第3の機関を通じて再び実験をするか、自分たちが提供する試料で再度実験をするよう要求し、受け入れることができなかった」と明らかにした。この日、もう一度自発的に回収・廃棄するという意思を明らかにしたが、翌日に結果を発表すれば民事・刑事上の訴訟を提起するという内容証明を送ってきたというのが消費者院の説明だ。

消費者院はこのほかにも、試料採取と検査工程や検査方法などについて一つ一つ反論し、すべての資料を検察に提出したと明らかにした。

食品医薬品安全処(以下、食薬処)がナチュラルエンド・テックの原料と白首烏入りの製品を収集して独自の分析に乗り出した状態で、消費者院と企業が真実攻防を繰り広げる間、白首烏入りの製品を販売したホームショッピングには返金要求が殺到した。ナチュラルエンド・テックが原料に問題がないと返品を拒否したため、ホームショッピングも払い戻しをすることを避けた。

このような中で、ナチュラルエンド・テックの役員3人は消費者院が「偽の白首烏」を発表する直前に、保有していた株式約2万5000株を売って22億ウォンを現金化した事実が明らかになり、不公正取引の論議をもたらした。

「偽の白首烏」事態は、食薬処が一歩遅れてナチュラルエンド・テックが保管している白首烏の原料と13の白首烏入り製品から異葉牛皮消が検出されたと明らかにして、一段落した。

一週間の間、消費者当局と企業が正面対決を繰り広げるの間、ナチュラルエンド・テックの株式は会社側の自社株の買い入れ直後に反騰したときを除いては、連日墜落した。株価急騰落の期間に短打売買を楽しんでいた個人投資家は、株式を購入した後、連日下値を切り下げる市場から抜け出ることができず、資金は足止めを食らった。

個人投資家がナチュラルエンド・テックの株式を買った理由は、食薬処の調査にベッティングをしたマネーゲームの様相もあるが、機関投資家の動きを正しく読み取ることができなかったという点もある。実際、食薬処が「偽の白首烏」を確認した後、個人投資家が吐き出した物量のうち、9万株は機関と外国人投資家が受けとめた。

投資専門家は、機関と外国人投資家のこのような動きは空売りと関連があると分析した。消費者院の発表前、高価で空売りした株式を返却するために、株価暴落にもかかわらず買い戻したという説明だ。株式市場で作戦説が飛び交うにも理由があるわけだ。

消費者院を猛攻撃していたナチュラルエンド・テックは、食薬処の発表直後にホームページに謝罪文を上げた。要旨は「自分たちも知らなかった。今後、製品検査をより一層徹底する」という内容だ。これまで100%本物のみを使用するとし、大口を叩いていた姿とはあまりにも対照的で、検察の調査が注目されざるをえない。

検察の捜査と証券監督機関の調査、消費者と企業の返品要求、投資家の集団訴訟など、ナチュラルエンド・テックが迎えることになる第2ラウンドは、まだ蓋が開いてもいない状態だ。

  • 名薬「白首烏」が人を窮地に追い込む
△写真=ナチュラルエンド・テックのヒット商品。白首烏入りの製品で昨年同社の売上高は1240億ウォンに。2012年の216億ウォンに比べて5倍以上上昇した。

  • 名薬「白首烏」が人を窮地に追い込む
  • < 食品医薬品安全処の発表直後に謝罪文を載せたナチュラルエンド・テックのホームページ >



  • 名薬「白首烏」が人を窮地に追い込む
  • < 韓国消費者院の発表以来、急転直下したナチュラルエンド・テックの株価グラフ >

  • O2CNI_Lim, Chul
  • 入力 2015-05-05 08:00:00




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